第三話 激闘 超人的油女
朝シャンって文化が始まったのは
今から30年ほど前らしいですね。
朝でも夜でもどっちにしても
現代人なら一日一回はお風呂に入るのが当たり前ですよね。
ふと思ったことがあるんです。
人はお風呂に入らないとどうなるのだろうか??
怖くてそんな実験できないですけど、
先日、ちょっと答えがわかった気がしました。
夕方、17時くらいでしょうか、お店が初めての女性のお客様が来店しました。
年齢は20台前後、学生ですかね。
ちょっとギャルっぽいけど田舎臭い感じのポッチャリちゃんです。
オーダーも普通でそんなに珍しくもない何処にでもいそうな子。
髪の毛を触るまではそう思っていました。
いざ、カウンセリングで髪の毛をちょっと持ち上げると
ぷ〜〜ん・・・
髪の内側からものすごい異臭が、、、
夏場に汗まみれのシャツを放置した様な臭い、、、
獣でもこんな臭いはしないだろう
そして髪の毛もベトベトしているんですね。
とりあえず、、、シャンプーしないと切る気も起きない
っと思ってシャンプーしようとしたんですけど
水を弾くこと弾くこと、、、、地肌の油が髪に行き渡っているのかな、、
しかも、しばらく髪の毛を切ってないそうで、半端ない毛量。
それに加えて一本一本がなかなか太いし硬い。
一束にすると ” 縄 ” の様な感じでしたね。
「 多い ・ 太い ・ 臭い 」
この地獄の三拍子が揃った怪物をなんとか綺麗にしたい。
そう思って頑張ってシャンプーしてたんですけど、
全く泡が立たない。どんだけすすいでもシャンプーを足しても
強靭な髪と油によって無効化されてしまう。
この時初めて、美容院のシャンプー剤が嫌になりました。
美容院のシャンプーってちょっとお高いんですよ。
その代わり低刺激で洗浄力も優しいマイルドなシャンプーなんですよね。
しかし今回に限っては、欲しいのは「 洗浄力 」のみ・・・
なんなら油を分解できるならシャンプーじゃなくてもいい
「 油汚れに〜ジョイ♩ 」あの食器洗い洗剤のCMが頭に流れた
使いたい!心から思いました。
ですがそんなわけにもいきません。
最後はもう限界を感じたので、ちょっとべたつきが残ってたのですが
時間の兼ね合いもありそのままカットしました。
カットは無事に終了。
しかしこのまま帰すわけには行きません。
彼女はまだ若い!美容師として一言、彼女のために言おうと
恐る恐るお風呂事情を聞いたんですよ。
そしたら彼女曰く
「 お風呂は入るけど、髪乾かすのめんどいからたまにしか洗わない 」
だそうです。
たまにっていつだよ、、、、、
私 「 もっと暖くなったら、洗う頻度を増やした方がいいね! 」
お客様 「 えーーめんどくさいなーー。」
・・・・・そのとおりさ。
人間ありのままが一番。
油も臭いも個性だよね。
次回 第四話 絶望 沈黙の悲壮男
第二話 焦燥 言語障害夜店系男子
さあ、今日も一日頑張ろう。
朝の7:00起床。
と同時に眠りにつく人もいるだろう。
夜間のお仕事だと昼夜逆転してしまいます。
今回はそんな昼夜逆転生活の夜店系男子が来た時のお話です。
昼12時ごろにカラーでご予約。
だが実際に来店したのは13時前でした。
男性で18〜20代前半くらいで、いかにも夜のお店の人って感じ。
第一声は謝る訳ではなく、
お客様 「 うぇ、あ、12時に予約した○○っす 」
よく堂々と12時と言えた。すごい。
もう13時のくくりに入る時間だぞ。
私 「 はい! お待ちしておりました! 」
触れないでおこう、、、
ちょっとだるそうだったのすぐにお席に座ってもらいました。
私 「 本日はカラーですね。 どのような感じにしましょうか? 」
お客様 「 ちょっと〜3日前?、4日前っすかね??」
知らない・・・・
お客様 「 ボムを風呂でカチこんで、んで〜この感じ? 」
「 あ、2週間前にもカチこみましたわ!!」
「 んで、んで〜アッシュにしようと思ったら緑くなったんすよ」
「 レックになりましたよ、髪色、ガチレックすね 」
「 んで、今っす。ちょっとこんな感じに(画像を見せる)したいんっす」
「 美容師さん的に〜逆にどうすっか??ワンチャンいけます??」
・・・・・・・?
どうしよう、、、、最後しかわからん。
とりあえず二回カチこんでいるという ” ボム ”から行くか。
私 「 恐れ入りますが、ボムってなんのk・・・・ 」
お客様 「 え、知らないっすか?? しろボムっすよ 」
この人も食い気味で来たよ。
しかし謎は解決した!しろボム=ホワイトボム
ホワイトボムっていう市販されているヘアブリーチ剤のことなんですね。
” ボム ”で気付くべきだったんですけど、” カチこむ ”って言う
謎の動詞に惑わされてしまいました、、、、
この流れの感じでいくと ” レック ”はすぐにわかりました。
お客様のお話を要約すると
「 2週間前に1回、3、4日前に1回、ホワイトボムを使って
家の風呂場でカラー(脱色)をした。アッシュ系の色にしようと
思って市販のカラー剤で染めたら緑っぽい色になってしまった。
シュレックになった。髪の色が本当のシュレックのみたいだった。
それから、今に至る。美容師さんの考えではこの写真の色にできると
思う??」
的な感じだと思う。
とりあえず写真の様な色になる様に、薬を調合して
カチこみましたよ!
一回では綺麗に入らないので
二回カチこみました。
カチこみ終わると、シャンプーの時間まで寝てました。
帰り際には
お客様 「 めっちゃいい感じっす!これでワンチャン狙えるっすね 」
「 ありがとうございました!! 」
私 「 よかったです! またカチこみに来てください!」
・・・・いい子やったな。
・・・・カチこむって何?
次回 第三話 激闘 超人的油女
第一話 溺愛 愛犬家女の襲来
三世帯に一世帯はペットを飼っている時代になりました。
わんちゃんでも猫ちゃんでもイグアナちゃんでもカメレオンちゃんだって
可愛いですよね〜(^ ^)
ただねー
愛情込めすぎてる人いませんかね??
これは先日のことなのですが、お店に初めてくるお客様の予約がネットで入りました。
メニューはカットのみです。
予約の時間になってお客様が来店しました。30代半ばの女性のお客様です。
私 「 ご来店ありがとうございます。お鞄をお預かりしてもよろしいですか? 」
お客様「 あ、はい。あの、、こっちのカバンは持ったままでもいいですか? 」
お客様が持ったままがよいと言った鞄は、黒のトートバックで
中身が動いているのが外から分かりました。
何だよソレ、、、、(^^;;
こんな時って何か変な妄想を一瞬だけしてしまうんですよね(笑)
中身が蛇だったらどうしよう、、とか
蛇だったらこいつは魔女なのか、、とかね(笑)
私 「 恐れ入りますが、こちらの鞄のなk、、、、」
お客様 「 犬です!!ペットなんです!私がいないと寂しがるんです!」
「 鞄に入れておくので持ったままでいいですか!? 」
食い気味に話して来たよ、、、(^^;
なんだ、犬かよ、、脅かすなよ、、、
しかし狂気、、、
って思ってたら犬がトートバックの持ち手の部分から顔出したんですよ
たぶん”ヨークシャテリア”かな??
まあ、可愛いんですよー(^ ^)
でもそんな問題じゃねー
人間の赤ちゃんはあるけど犬を抱いたままカットしたことないし
動いたり吠えたりして他のお客様の迷惑にならないだろうか
アレルギーの人がいないだろうか
・・・
・・・
考えました。 5秒ほど。
よし、、犬は外で待って貰おう。
私 「 あ、あのおきゃk 」
お客様 「 この子、おとなしいんで大丈夫ですよ!!」
「 前もそんな感じで切っていただいたので♩」
また食い気味。
そして謎の笑顔・・・・ 清々しさえ覚える・・・
私 「 は、はい・・ではこちらへどうぞ 」
負けた。( ;∀;)
気迫とおそらく犬への愛に。
結局、犬をトートバックに入れて、その上からクロスをかけて
切るというスタイルになりました。
クロスをかけているので、犬が動かない限りは普通にカットしている
状態と見栄えも変わりませんのでしたの少し安心。
犬もお利口で全く吠えませんでした。
ただ、クロスの中は意外に蒸れて暑いのか、時たまクロスの外に顔を
出しにきて、また中に潜るというの繰り返していました。
幸いにもクロスから犬の顔が出ているというカオスな絵は誰にも
見られませんでした。
カットも無事に終わり、お客様も喜んでご帰宅されました。
やはりお客様の笑顔が何より嬉しいですね♪( ´▽`)
ふうー 常識って何だろう。。。
次回 第二話 焦燥 言語障害夜店系男子